多動力の時代だからこそ、自分が何者なのかは、瞬時に的確に相手に説明できたほうがいい。
他人の奴隷になる時間を減らすべき時代だからこそ、他人に使わせる時間も減らすのがマナー。聞く耳を持ってもらえるのが一瞬であると理解し、削ぎ落とされた言葉を用いるべし。
著者の指摘する『1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない』には感銘。
「相手に伝え相手を動かす」ための著者のメソッドとは……?
本著では、「何のために伝えるのか? それは相手を動かすため」と語られる。そもそも、目的を持って伝えているのであり、その目的は相手を動かすことであって、それが達成できなければ伝わったことにならないよね、と。
具体的メソッドとしては、左脳が理解するロジックを作る方法・相手を迷子にさせないために話を「スッキリ・カンタン」にする方法・右脳を刺激してイメージを想像させる方法。そして、伝える相手に1分で動いてもらう方法が指南されている。
いずれも実例のフレーズを用い、ありのまま言い放ったフレーズとメソッドを使って伝えた場合のフレーズが比較されている。対照的な印象の違いが実感でき、理解しやすい。
また、最終章では実践編として、会議・プレゼン・上司への提案や取引先との商談などのモデルケースを元に、実践的な解説が示される。
個人的には『第5章:1分で動いてもらう』の『超一言で包み込む』のメソッドが興味深かった。要するに、伝えることをワンフレーズのキャッチコピーに落とし込めるか、というもの。
冒頭にも書いたとおり、これからの時代は多動力の時代。ひとつの仕事に従事していたり、ひとつの肩書しか持っていないと、消滅の憂き目に遭うリスクが高まる。
それを回避するためには、自分が複数の顔を持つ必要があるからこそ、自分が何者なのかを端的に伝えられるキャッチコピーは持っておきたいところ。
自分が何者なのかの説明をじっくりコトコト耳を傾けてくれるほど、他人には時間がないし、言葉を交わす相手へのおもてなしを考えれば、尖った表現で端的に伝えるべきだ。本作を読了し、そんな気づきを得た。
ただ、伝えることが脳内で組み立てられる技術と、それを相手に伝えるために表現することとは違うと思う。賢くなることと魅力的な表現者になることは、また別。
魅力的な表現者になるためには、たくさん恥をかいたほうがいいと思う。いろいろな人の前で、いろいろな場面で、たくさん恥をかく。で、恥ずかしいなんて感じる自分のプライドは、ちゃっちゃとバキバキにへし折ったほうがいい。
うまく伝えるため? 失敗しないため? バカにされないため? 恥をかかないため?
そんな心配をしている人がたくさんいると思うけれど、そもそも誰も他人の話なんて聞いていない。誰も他人の話なんて興味がない。必死で伝えようとしても、この有様だ。相手に言葉を届けることが、どれだけ難しいことか。
という現状を理解し、誰も自分の話なんて聞いていない、興味がないんだという前提で、伝えるスキルを磨き、超大胆に表現するのがいいと思う。そんなスキルの磨き方に、本著が一役買ってくれるに違いない。
他人の奴隷になる時間を減らすべき時代だからこそ、他人に使わせる時間も減らすのがマナー。聞く耳を持ってもらえるのが一瞬であると理解し、削ぎ落とされた言葉を用いるべし。
著者の指摘する『1分でまとまらない話は、結局何時間かけて話しても伝わらない』には感銘。
「相手に伝え相手を動かす」ための著者のメソッドとは……?
1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術
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伊藤 羊一
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プレゼンに限らず、人前に立って話をする、指示をする、伝える、ということが苦手な方はいるでしょう。著者の伊藤氏は、そのプレゼンを聞いたソフトバンクの孫社長から認められるほどの技術の持ち主であり、今はグロービスの講師として、ヤフーアカデミアの学長として、起業家からビジネスパーソンまで年間300人以上のプレゼンを指導し、ピッチコンテストなどでの優勝者を続々と輩出しています。本書では、「右脳と左脳」に働きかける伊藤氏独特のメソッドを紹介します。
本著では、「何のために伝えるのか? それは相手を動かすため」と語られる。そもそも、目的を持って伝えているのであり、その目的は相手を動かすことであって、それが達成できなければ伝わったことにならないよね、と。
具体的メソッドとしては、左脳が理解するロジックを作る方法・相手を迷子にさせないために話を「スッキリ・カンタン」にする方法・右脳を刺激してイメージを想像させる方法。そして、伝える相手に1分で動いてもらう方法が指南されている。
いずれも実例のフレーズを用い、ありのまま言い放ったフレーズとメソッドを使って伝えた場合のフレーズが比較されている。対照的な印象の違いが実感でき、理解しやすい。
また、最終章では実践編として、会議・プレゼン・上司への提案や取引先との商談などのモデルケースを元に、実践的な解説が示される。
個人的には『第5章:1分で動いてもらう』の『超一言で包み込む』のメソッドが興味深かった。要するに、伝えることをワンフレーズのキャッチコピーに落とし込めるか、というもの。
冒頭にも書いたとおり、これからの時代は多動力の時代。ひとつの仕事に従事していたり、ひとつの肩書しか持っていないと、消滅の憂き目に遭うリスクが高まる。
それを回避するためには、自分が複数の顔を持つ必要があるからこそ、自分が何者なのかを端的に伝えられるキャッチコピーは持っておきたいところ。
自分が何者なのかの説明をじっくりコトコト耳を傾けてくれるほど、他人には時間がないし、言葉を交わす相手へのおもてなしを考えれば、尖った表現で端的に伝えるべきだ。本作を読了し、そんな気づきを得た。
ただ、伝えることが脳内で組み立てられる技術と、それを相手に伝えるために表現することとは違うと思う。賢くなることと魅力的な表現者になることは、また別。
魅力的な表現者になるためには、たくさん恥をかいたほうがいいと思う。いろいろな人の前で、いろいろな場面で、たくさん恥をかく。で、恥ずかしいなんて感じる自分のプライドは、ちゃっちゃとバキバキにへし折ったほうがいい。
うまく伝えるため? 失敗しないため? バカにされないため? 恥をかかないため?
そんな心配をしている人がたくさんいると思うけれど、そもそも誰も他人の話なんて聞いていない。誰も他人の話なんて興味がない。必死で伝えようとしても、この有様だ。相手に言葉を届けることが、どれだけ難しいことか。
という現状を理解し、誰も自分の話なんて聞いていない、興味がないんだという前提で、伝えるスキルを磨き、超大胆に表現するのがいいと思う。そんなスキルの磨き方に、本著が一役買ってくれるに違いない。