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近ごろの「すとぷり」の人気には、ただただ驚かされるばかり。プロモーションの仕掛け方には、目を見張るばかりです。

現在6名で活動しているネットアイドルグループ「すとろべりーぷりんす」こと「すとぷり」。生放送や動画投稿サイトなどで活動されているユニットです。

ライブのチケットを販売すれば、即完売するほどの人気なのは周知の事実。それだけでなく、グッズ販売やプロモーションの仕掛け方もすごく今っぽい。

ファミリーマートのマルチコピー機を活用して、ダウンロードコンテンツを販売すれば、コピー機のインターネット接続が不安定になるほど。ヴィレッジバンガードや限定した特設コーナーのみ期間限定でオープンされるショップには、信じられないほどの長蛇の列。

さらには、1stミニアルバムの予約時に、楽天・Amazon・アニメイト・タワーレコード・ヴィレッジバンガード・オフィシャルグッズ通販サイト「いちごのおうじ商店」で、それぞれ異なる限定特典を設けて予約を行うなど、プロモーションの仕掛け方がユニークでおもしろい。

予約開始と同時に、それぞれのサイトのWebサーバーがダウンし、接続できない状態に。と同時に、Yahoo!の検索急上昇ワードでも上位を独占するなど、とにかくアプローチの仕方が今っぽいんです。

動画投稿サイトで歌い手として人気を集め、ユニットとして規模の大きな成功を収める。芸人であり絵本作家である西野亮廣氏が言う「マネタイズのタイミングを遅らせる」という手法と、見事に合致しているなぁと、感心、納得してしまうばかり。

そんな、すとぷりメンバーの「さとみ」が歌ってみたで公開している『アウトサイダー』を聴いていて、ふと気づいたことがあるのです。
『アウトサイダー』とは、元々はニコニコ動画で「歌ってみた動画」を投稿されており、現在ではシンガーソングライターとデザイナーで活躍されているEveの楽曲。

この名曲をすとぷりメンバーの「さとみ」が歌ってみたとして公開しているのが、こちら。



Eveのバージョンとはまた異なるテイストで、艶っぽい声色が魅力的な、さとみ。テンポの速さとは対象的に、世界観を染み込ませるような歌唱に魅了されるファンも多いのではないでしょうか。

ここでふと、あることに気づいたのです。
そういえば過去に、J-POPでこういった世界観を打ち出していたバンドがいたような。
あっ。MOON CHILD(ムーンチャイルド)だ。

ということで、早速、MOON CHILDの大ヒット曲『ESCAPE』を聴いてみる。

1997年当時、J-POPを聴いていた人なら知らない人はいないだろう名曲。バンドサウンドでありながら、どこか大人っぽい雰囲気を感じさせる楽曲です。あくまで個人的にですが、さとみの歌う『アウトサイダー』と、どこか通ずるものがあるなぁと、時代を超えた両名曲に聴き惚れていると、ん? もしかして? あれ?

そう。MOON CHILDの『ESCAPE』を1.25倍のスピードで聴いてみると、なんと、現代の楽曲らしさを伴って再びこの世に甦ったのです!

Youtubeには動画の速度を調整する機能があり、何気なく1.25倍にして聴いてみたところ、『ESCAPE』が生まれ変わり、まるで近ごろよく耳にする楽曲かのように、再び輝き出したのです。



(普段は、オリジナル楽曲の速度を変えたりして聴くことはまったく無いのと、ありのまま当時のままの『ESCAPE』も大好きな前提でお伝えしております)

となるとだ、MOON CHILDの『ESCAPE』は、20年近く後世の、現代の音楽の趣向を予言していたとも言える。凄まじい先取り感。

たまたま『ESCAPE』だけがそうだったのかを検証してみたくて、『ESCAPE』の次のシングル『アネモネ』でも1.25倍での視聴を試してみた。すると、やっぱり現代の音楽の趣向にマッチしている!



もはや確信した。MOON CHILDの楽曲はそもそも、20年後の現代のテイストにマッチしている。あと、当時と現代の音楽の趣向を比べてみると、速度が1.25倍、速くなっているということ。

速度の趣向に関しては、なんとなく頷ける。

通信手段だって、手紙や電話の時代からLINEの時代へと移り変わり、気持ちを伝えることにタイムラグがなくなった。好きな人への告白や会社への退職願なども、思い立った瞬間に、相手に伝えられるようになった。

パソコンだって昔のものと比べると、圧倒的に起動も動作も早い。にも関わらず、その時間さえも待つことを不毛だと感じ、起動に時間がかからないスマホやタブレットが人々の主流のデバイスになっている。

何もかもが早く、そして速くなっているんだ。そう、実感した。

古き良き時代のものは、もちろん、いい。昔のものも、もちろん、いい。それを踏まえて、現代の形はこうなんだと胸を張りたいし、すとぷりが巻き起こしているブームの起こし方は、プロモーションに携わる方なら、チェックしておくべきだ。

こういったブームの起こし方は、インターネットの登場で情報革命が起こった後の出来事。だから、以前の人たちからは否定的に見られるかもしれない。一過性のものだと見向きもされないかもしれない。

ただ、断言できるのは、情報革命以前のムーブメントの起こし方は、もう再来しない。だから、それにすがっていてはダメだ。すとぷりの熱狂的な人気を見ていて痛感した。情報革命以後の世界で闘うなら、それなりの身体づくりをしなければならない。

でも、それはきっと過酷な身体づくりになるだろう。だって、1.25倍のスピードで走らなきゃならないんだから。

20年近く前のJ-POPの名曲と、現代の「すとぷり」の歌う曲を聴き比べ、意外な共通点に気づきつつ、すとぷりの人気の集め方には"今、ならでは"の新しさが感じられる。

そのポイントは、旧来のように「ほらほら、俺たちアイドルだぜ。君たちもファンになるだろ?」というマス的なアプローチじゃなくて、「私だけが(私たちだけが)知っているアイドル」という存在。
発掘して出会えた喜び、という部分が、まさにインターネットとの親和性を生んでいるんじゃないだろうか。