ここ数年、日本の未来を憂う意見ばかりを聞くようになった。少子高齢化が進む。税金があがる。景気が衰退する。他国が攻めてくる。そんな話にばかり脅かされ、抜本的な改善策が見出されぬまま、流れに身を任せるしかないような風潮が蔓延っている。

しかし、よくよく考えてみると、今の考え方・今の知識・今の技術から延長しただけの発想をもってしても、事態がよくならないのは当然。で、それに対峙するためには、今を生きる人たちが、「は? 何言ってるか意味わからん」「は? そんなこと夢物語に過ぎないね」と嘲笑するような発想が必要だということに気づいた。

たとえば、タイムマシーンを使って昭和に戻ってみる。で、昭和を生きる人たちに、「スマホってものがあってねぇ。めちゃくちゃ便利なのよ!」って言ってみたところで、「なにこいつ? 頭イカれてんじゃね? そんなことできるわけないっしょ」と、バカにされるはず。

これまで幾度となく、万人に理解されずバカにされたものたちが世の中を変えてきたことを知っているはずなのに、頭の固い大人たちは相変わらず、「なにこいつ? 頭イカれてんじゃね? そんなことできるわけないっしょ」と嘲笑する。それが、自らが憂う日本の未来を大きく変えてくれるかもしれないのに。

デジタル。

我々の未来をデジタルに託したいと思った。

個人的にはアナログ大好き。デジタル便利。という人間だったけれども、やはりこれからの日本には、デジタルの力は必要不可欠だと強く認識した。

馬車から自動車には乗り換えられた人間。手紙からメールには乗り換えられた人間。にも関わらず、デジタルへの乗り換えには異論を唱える人たちが多い。便利になるだけじゃなく、再びアナログを照らす力さえも、デジタルにはあるというのに。


日本再興戦略 (NewsPicks Book)
落合 陽一
幻冬舎 (2018-01-31)
売り上げランキング: 98

AI、ブロックチェーンなどテクノロジーの進化、少子高齢化、人口減少などにより、世界と日本が大きく変わりつつある。
今後、世界の中で日本が再興するにはどんな戦略が必要なのか。
テクノロジー、政治、経済、外交、教育、リーダーなどの切り口から日本と日本人のグランドデザインを描く。

「日本再興戦略」とは、改革や革命ではなく、アップデートです。
必要なことは、「過去において日本は何が機能したのか、何が時代と合わなくなったのか」を検証すること。
本書がポジションを取って未来を作る皆さんの一助となることを祈っています。

『超AI時代の生存戦略』に続き、落合陽一の著作を読む。本作では、落合陽一が日本の再興戦略を語っている。

「欧米とは何か」「日本とは何か」「テクノロジーは世界をどう変えるか」「日本再興のグランドデザイン」「政治(国防・外交・民主主義・リーダー)」「教育」「会社・仕事・コミュニティ」という章で構成され、それぞれのテーマにおいて日本が再興するための戦略が、概念的・具体的に説かれている。
実にたくさんの具体策が打ち出されているため、掻い摘んで紹介することも難しく、そのいずれもが採用を熱望してしまうものばかりだった。

なかでも落合陽一を語るうえで外せないのは、やはり『ワークアズライフ』の考え方。
ワークとライフを二分法でわけるのではなく、ワークだろうがライフだろうが、ストレスフルの状態かストレスのない状態かに焦点をあてる。そうすることでむしろ、ワークもライフも関係なくなる。ストレスがあるかないかだけの観点から、自分の人生を見つめ直せる。

オンとオフの概念で区別しようとするから、オンの状態にいることにストレスを感じてしまうし、むしろ、オフ(プライベート)でもストレスを感じることもある、ということを忘れてしまう。
もっと言うと、オンでもストレス負荷を感じない時間があるにも関わらず、オン=緊張状態、オフ=緩和状態と決めつけてしまう。いわゆるワークライフバランスの考え方、これは非常に危険だと思う。

今や働き方によっては、とても「自由」を意識しながら仕事をすることができる。稼ぎ方によっては、趣味や遊びに近い感覚で、しっかりと収益をあげていくことだってできる。
サラリーマンとして定時に出勤し、定時に帰社する。仕事が積み残っているなら残業したり休日出勤したり。職場に一堂に会し働くやり方は、もはや時代に合っていないし無駄が多すぎる。

ストレスを感じ、苦になるから残業は苦痛。だったら、残業を残業と思わない働き方、仕事の就き方。好きなことなら何十時間でもやっていられる。そう思えるような働き方をするのが重要だし、自分の守り方でもある。
「そんなことできるわけがない」と決めつけるのは悪い癖。これまでの常識に縛られ続けた結果、日本を憂うことになったのだから、これまでの常識は一旦リセットして考える必要がある。

あと、人口減少・高齢化だからこそチャンスだと語る落合陽一の考え方に目からウロコだった。

自由化・省人化に対するネガティブな圧力がかかりにくい点、輸出戦略として高齢化社会に向けた新しい実験がやりやすいという点、人材の教育コストを多くかけられる点など、3つのポイントを挙げて説いている。

高齢化が進むと働き手がいなくなるとか、社会福祉に対する若者の税金負担が増えるだとか、人口減少に伴って消費行動が落ち込み景気が悪くなるだとか、常識的にはそうやって暗く考えてしまいがち。でも、そういった状況だからこそ、チャンスと捉える見方もある、ということをとても新鮮に認識させてくれた。

日本の未来を憂いている人たちの意見に耳を傾けていると、既出の要因の足し算と引き算で現在と未来とを見ているような気がした。その繰り返しでこんな状態になったのだから、既知ではなく未知の要素を加えないと、いや、掛けないと。

その未知なる要素こそが、デジタルだと思った。

すべての問題に対し、デジタルという要素を掛け合わせることで、勝機になったりもする。平面で描かれた出口のない迷路に迷い疲弊しているときに、「平面なんだから天井ががら空きだぜ。上から脱出しちゃいなよ」と知恵を授けてくれるヒーローのよう。

ただし、老害となる大人たちはいつだって保守的だ。口では日本の未来を考えているようでいて、その実、自分たちだけ生き延びられればいいと心のどこかで考えている。だから、大きく制度を変えるつもりも毛頭ないし、それをやろうとする勢力は鎮圧しようとする。

未来の子供たちが幸せになるような施策だったとしても、老害たち自身が少しでも損をするようなものなら、損を忌避する老害たちは絶対に賛同しようとしない。そして悲しいことに、選挙に投票する層の多くは老害たち。一票を渇望する政治家たちは、当然のように老害のご機嫌を取りに行く。今、超近視眼的に損をしたとしても、実はそれは損じゃなく、存続のため、むしろ拡大のため、日本再興のためだとも理解せずに。

さぁ、デジタルよ。老害たちをぶっ潰そうぜ。どこまでやれるか、テクノロジーの底力を見せてやろうじゃないか。