これまでの世界とこれからの世界は、まったく別物になるだろう。もちろん、どこからを「これから」と定義するのかという議論はあるものの、我々市民レベルが人工知能を意識しはじめるタイミング、いや、無意識のところで数多の人工知能が活かされはじめるタイミングこそが、これからの世界なのではないだろうか。

人口知能はディープラーニングを続けることによって、どんどんと進化を続ける。ひとりの人間の進歩や成長に制限や限度があるのに対し、人口知能は世界中の知と経験を吸収しながら、どこまでも進化し続ける。

通信機器や電化製品にAIが搭載されはじめた昨今。まだまだ「AIなんてツールだ」的な議論が目立つが、AIと人間が融合した先にある「人間の魅力の打ち出し方」について、そろそろ考え始めたほうがいいような気がする。

「AIが担うことによって、今現在の仕事の多くが自動化され、たくさんの人が職を奪われることになるだろう」という、まるで人口知能と人間が戦争でも起こすのかと言わんばかりの煽り文を目にするが、そうじゃない。

今、世の中に溢れている仕事に留まらない存在に、人間が駆け上がっていくための、必然的な進歩の機会なんだと思う。これまで人間が「無駄」に積み上げてきたものと、それをゼロから積み上げ直す次世代への教育を完璧に改善し、人が本当に「今」を生きるために、人口知能は人口知能としての最低限の働きをしてくれるのではないだろうか。

過去を懐かしむことで未来に蓋をするのではなく、未来を照らすために過去から跳躍する、そんな転換期が訪れたんだろう。



「人間らしさ」という思考停止をやめて、爐海譴らやるべきこと瓩鬚舛磴鵑汎匹濂鬚1冊。

ギャンブル性のあること、コレクション的なこと、単純に心地いいこと…
人間にとってエモいこと以外は、すべてコンピュータにやらせればいい――。

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未来への漠然とした不安。
「何をしたらいいかわからない」という人たちに向け、
超AI時代の「生き方」「働き方」「生活習慣」を
気鋭の若手学者が丁寧に描き出します。

従来の「ライフとワーク」ではなく、「ストレスと報酬で人生を組み立てる」など、
著者ならではの新たな切り口&視点が盛りだくさん。

これが、時代を読み解く34のキーワードだ!

ワークライフバランス / 人間性の再認識 / 競争心と淡々とやること
自己実現と責任と戦略 / 信仰心 / 趣味性 / ギャンブルと報酬
ゲーム性と遊び / 完成物 / アイデンティティ / 時代性 / コモディティ化
マーケティング能力 / 利潤の再投下 / AI系ツール / 非合理的コミュニケーション
オーディオとビジュアル / プレゼンテーション / 発注・命令 / メディア
政治 / 情報アプローチ / 浅く広い知識 / 受験勉強 / トップ・オブ・トップ / ストレスレス
身体性 / 自傷行為と食事 / コンプレックスと平均値 / ファッションと平均値
友達とコミュニティ / 土地の所有 / 貯金と投資 / 子育て

近ごろ、落合陽一氏の価値観に触れることが、すごく刺激的で且つ、自分に活力を与えられる。未来を照らせる天才と、過去に拘り続ける天才がいるとすれば、落合陽一氏は間違いなく前者だと思う。

本作を読むことで、これからの生き方が見えてくる。これまでの時代が仕掛けた足かせは取っ払い、自分という個人がどのようにこれからの世界に適応するかを考えることが重要だと感じた。

ワークライフバランスではなく、ワークアズライフと語る落合陽一氏。差別化した人間価値を仕事と仕事以外の両方で生み出し続けるという考え方。インターネットが主流になり、多様化したこの世の中で、旧価値観である仕組みに縛られ、人生を消耗し続ける必要性はもはやない。

あと、ワークライフバランスではどうしても時間をキーにして考えてしまいがちなところ、本作では「ストレス」をキーにして、これからの生き方を定義している点が新鮮だった。
たとえ仕事に従事する時間だったとしても、ストレスがない状態であれば、そもそも仕事とプライベートなどという棲み分け方をする必要がない。だとしたら、無理に仕事だプライベートだと分けようとせず、ストレスがゼロの状態を継続できる生き方を意識すればいい。この考え方は、個人的に残りの人生、全面的に取り入れ、意識し続けていくことになるだろう。

本作、時代を読み解く34のキーワードが、かなり具体的に紐解かれている。単に著者の考え方の切り口だけで斬新な方向性を示すような類のビジネス書ではなく、これからやってくるAI時代を緻密に考察し、それに基づいた結論が示されているため、圧倒的に納得してしまう。

人口知能が当たり前になる世の中では、「機械を使う側と機械に使われる側」に分けられるとも言われる。そんな風に聞くと、技術者だけが前者になり、一般的な市民は後者になるのでは? と感じてしまいがちだが、きっとそうじゃない。

人間と機械が当たり前のように融合する時代。両者を区分けすることなく、融合した状態を自然だと考え、そして、そのうえで人間が何をするのか、何ができるのか、何を楽しむのかを正しく意識できる人は皆、前者になり得るのではないかと思った。

AIはまだまだツールなのかもしれない。しかし、AIを当たり前に世の中に浸透させ、これまでの無駄を徹底的に省き、そのうえで人間が何をクリエイティブできるのか。その可能性に賭ける意味でも、AIという概念がとても壮大なものだと理解すべきだ。

無駄を省くことに抵抗を感じる人も多いはず。僕個人としても、無駄や遠回りが好きなため、そういった気持ちがないわけでもない。しかし、AIが無駄を省いたとして、次はさらに人間らしい新たな無駄が生まれてくるはずだ。これまで機械でもでき得る無駄を、人間が負担してきた部分がクリアになるだけ。もっともっと人間らしい無駄が楽しめる時間が作れるに違いない。

AIを敵視している暇があったら、AI時代以降、どんな風に人生を豊かに過ごしていくかを考えたい。そう思わせてくれる一冊。