大阪モダンディスコ

大阪のモノ書きでありWeb屋であり広告屋。 ロクデモナイ売文稼業家としてメシを食っていける日を夢から現実に変えるべく、うぬぼれ一本で今日もくだらん文字を書き続ける。

幕切れが来るまでは終わることなく動き続けている、この名も無き世界。-書評-『名も無き世界のエンドロール』

僕たちの毎日も、本当はこんなにもドラマチックなことが潜んでいて、ドラマチックな事情に満ち溢れながら生きているはずなのに、それを見ようともせずに、日々の人間関係や日々の仕事に追われまくりながら、味気のない日々を生きた気がしている、自分勝手な生き物、現代に巣食う人間たち。

こんなにも個人的な事情を抱えて生きている人間たちの毎日が、本当は、味気ないもののはずがないのに。

自分の目に映る世界に住む人たちは、全て、自分にとってのエキストラかも知れないけれど、そのエキストラの人たちから見れば、僕たちも単なるエキストラであって、となると、そのエキストラの人たちも、日々を主役として生きていて、だから僕たちは、その主役として生きている人たちの中の、ただのエキストラに過ぎない。

言い換えてみれば、人間の数だけ、主役の物語が、あると。

その物語のほとんどは、人に知られることもなく存在している物語で、それはすなわち、名も無き世界ということになる。
その名も無き世界の中で、人間たちは、死ぬほど笑ったり、死ぬほど泣いたり、時に本当に死んでしまったり、時に死ぬことを踏みとどまったり、まるでフィクションとして創られたようなストーリーをノンフィクションとして生きている。

その世界のことなんて、誰も知らなくったって、いい。

でも、そこは、紛れもなく世界で、その世界の中で僕たちは生きている。
あっけない幕切れが来ることを怖れる気持ちに気づかないフリをして、台本をペラペラとめくり続けている。

生きてるだけで充分じゃないか、というような生温かい言葉もあるかもしれないけれど、そうは思わない。

少しでも多く、この素晴らしき世界を味わってやりたいという、貪欲な気持ちで、自分の名も無き世界を謳歌してやりたい。

名も無き世界のエンドロール
行成 薫
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あなたが周りから受ける演出と、あなたの内で滾る熱量について。

人が生きている中で巻き起こるいろんなことは、その人へのあくまで演出なのではないかと思うに至る出来事が、たくさんたくさんあるもんで、人によってはそんなことを言ってしまうと、怒られてしまうんじゃないだろうかって気もするけども、ともかくそんな風に思ったわけです。

スーパーマリオブラザーズというゲームをやったことがあるでしょうか?
そのゲームの中で、水中のステージがありまして、その中でマリオは泳いでステージを横断していくわけですが、コントローラーのボタンを押すと、マリオがプカッ、もう一度押すと、またしてもマリオがプカッ、ボタンをエイエイと二度押すと、マリオがプカプカッと、浮き上がるわけ。
つまりは、ボタンを押さないと、連打し続けないと、マリオの身体は浮き上がろうとすることを忘れ、どんどんと沈んで行くことになるのです。

だから何が言いたいのかというと。

20140215
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「質も量も」という欲張りな願望から、僕はショートショートを読み漁る。-書評- 『猫の事件』『短編小説より愛をこめて』

一冊の中で、笑いや興奮や感動を、たくさん味わうことのできる、ショートショート、短編小説。

もちろん、長編小説のように、末永く尾を引く読後感はないかも知れない。
と思いきや、侮ることなかれ、短編小説にはもちろんのこと、ショートショートにも、永代語り継ぎたくなるような名作は多数ある。

そんな一作に出会える喜びが忘れられなくて、今日もショートショートを読む。

阿刀田高氏も、『短編小説より愛をこめて』の作中で、こう語っている。
読書はすばらしい。何より楽しい。安価で、どこでもいつでも一人で楽しめる。
なかでも、読者に時間をとらせず負担をかけない短編は、「礼儀正しい文学である」。

これほどまでに、短編小説の『人となり』を言い得たひとことは、これまでに見かけたことがない。

またしても、ショートショートの魅力に取り憑かれた人間が、新しい短編小説に手を伸ばしてしまう。そんな中毒性が、たまらなく好きだ。

こんなにも短い文章量の中で、しかも読者がその作品に触れている時間は、ものの3分から5分程度。
その中で、これほどまでに、笑いや涙、毒や薬、感動や怒り、アンチテーゼやプロパガンダ、マニフェストだろうが何だろうが、徹底的に洗練された言葉を持って詰め込み、練りに練られた構成の中で、オチまで持っていけるショートショート。

短編ファンの阿刀田高氏は、短編小説と『心中してもいい』と言ってのけるほど。
確かにそう言われてみれば、僕はショートショートと『無理心中してもいい』とまで言ってしまいたいくらいに、こよなく愛している。

人生、楽しみは多いほうがいい。
読書だって、そうだ。

「質より量を」という意味でショートショートを選んでいるわけではなくって、「質も量も」という欲張りな願望から、僕はショートショートを読み漁る。

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青春とは、切り取った1ページの、その次のページからが大切で、切り取らずに残るページこそが、素晴らしい。 -書評- 『ウォールフラワー』

青春とは、1ページを切り取って眺めるものなのだろうか、果たして。
ある部分を切り取ってしまわないと、青春とは成り立たないものなのだろうか。

そういったことを、最近よく思う。

なんで大人たちはみんな、自分は年を取ってしまったと思いたがるのだろうか。
なんで大人たちはみんな、何事も諦めた素振りをしたがるのだろうか。

今、手にしているものの中からでしか、楽しみ、喜び、嬉しさ、悲しみ、苦しみ、悔しさ、その中からでしか味わえないなんて制限は、誰からもされていないはずで、ちょっと目を向けてみれば、新しい世界にそれらはたくさんあって、手を伸ばせばその世界に触れることもできて、ほんのちょっとの勇気と、多大なる言い訳を捨ててしまえば、いつだって、そんな素晴らしい世界は広がっているというのに。

みんなみんなみんなみんな、今、手にしているものの中から、カードを切ろうとする。

若い頃は、無知だから、若気の至りだから、傍若無人だから、省みずだから、だからどんなことでもできたのさ。
今では知識も知恵もついちゃってるから、何でも頭で考えてしまうし、行動できないよね。

あほんだら。

世界には、君の知らないことだらけ、君の知らないことばかり、君が知ってることなんて、ほとんどない。
人間様は、すぐにのぼせ上がるから、いただけない。

こんな風に思うんだ。

青春とは、切り取った1ページの、その次のページからが大切で、切り取らずに残るページこそが、素晴らしいと。

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今年の棚卸し

怒涛のように過ぎて行った、今年一年。
最後の追い込みをかけられる数日は残っているにせよ、今年もやはり一年の棚卸しをしてみようかと。

今年を漢字で表すとするならば、

『書』『笑』『音』

とでもなるだろうか。

最近では、年も少々食ってきたせいか、しばらく前のことを思い出せないという貧相な脳みそになってきているような気がして仕方がない。
写真やら文書やら、そういったものを見れば、その頃界隈の思い出は容易に蘇ってもくるが、脳内だけで時間を遡っていると、途端に靄がかかったようになり、輪郭がぼやけ、おぼろげになってしまうという不甲斐なさ。

「ほんとに今年一年も、いろいろあったねえ。あれとかこれとか、あんなこともこんなことも…」

などと回顧して振り返られる思い出が、どれもこれも、11月やら12月やら、良くて10月やら、その辺りの話一辺倒で、それより向こう側が思い出せないという始末。

まぁそれもこれも、新しいことをどんどん詰め込んで行けという印なのかも知れないので、それはそれとして、甘んじておくことにする。

さあて、今年一年を振り返ってみようかしらん。
ん?何も思い出せない…。
俺の記憶力、どこへ…。

20131222
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自分の導いた答えというものが、自分の手作り品で、自分だけにしか見えないものだったとしたら? -書評- 『ライ麦畑でつかまえて』

目に映るもの全て、何にだって過剰に反応してしまう。そして、自分の中に巣食うもうひとりの自分との対話は絶えない。そうやって導き出した答えを、世界に存在するたった唯一の答えだと思い込んで、何だってやり過ごす。

若い頃って、なんて多感だったんだろうと思うのと同時に、少なくとも僕は、歳を重ねても未だに多感で、だからこの社会とも未だに折り合いを付けられずに、疑問ばかりを抱いて、反抗することばかりを考えている。

年を取ることは、どんどんと感性を失っていくことだなんて、誰も思いたくないはずなのに。
年を取ることは、どんどんと鈍感になっていくことだなんて、誰も信じたくないはずなのに。

人はみんな、昨日と今日と明日の区別もつかないような焼き増しのような日々を過ごしていることを、いったい誰のせいにして生きているのだろうか?
自分が見なければいけないと思っている景色だけを見る癖がついて、見なくていいものや見えてしまうものや見たいと心の底では願っている景色を、いつから見ずに生きるようになってしまったのだろうか?

この世界は、素晴らしいことで溢れかえっている。

あの本屋にズラッとならぶ本の数々。僕らはその全ての本を読むことなんて到底できずに死んでいく。そんなに早いスピードで本だって読めないし、新刊だってどんどんと出版される。
レコード屋に並ぶ音源たちだって一緒だ。僕らが死ぬまでの間に、全てのアーティストの全ての楽曲を聴くなんて、不可能だ。

なぜかというと、人にはそんなにたくさんの時間がないから。

もし君の趣味が読書だったとしよう。君の好きな読書でさえも、全ての本を貪り読むという点においては、もう残された人生の時間の中では、それは実現できない。

でもね、それは、悲しいことじゃなくって、君は一生退屈せずに生きていけるってことも意味していて、だからこそ、この世界は、素晴らしいことで溢れかえっていると思うんだ。


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ほら、結局、ロックが人を救うんじゃないか。 -映画- 『20世紀少年』

果てしなく遅ればせながら、映画版『20世紀少年』を観た。

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なんだこの衝撃は…。
という感覚に久しぶりに襲われまして、自分の中での初期衝動が、ほんま久しぶりにムクリと起き上がりまして、それはそれは興奮してしまって。

夜も眠れないといいますか、歯軋りが止まらないといいますか、何かやらかしたくてウズウズするといいますか、そんな感覚に、襲われてしまったわけです。

映画のストーリーはもちろんのことだけども、やっぱり、T・レックスがね、20th Century Boyがね、マークボランがね、自分の中で眠りかけていたリビドーをギャーンとかき鳴らしてくれたわけです。

この映画、こんなにも素晴らしい映画やったのか。
観よう観ようと思いきや、観てこなかった自分を恥じる気持ちと共に、名作はいつ観ようが、変わらぬ衝撃を与えてくれるものだと再認識すると共に、夜半、暴れ出したい衝動を抑えるために、ひとまず、熱いお茶をすする。

茶柱ではなく、人差し指を立てながら。

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世界は恋人たちだけにひっそりと幸せも不幸も頒布する -書評- 『うたかたの日々』

夢見心地な気分で、うっとり、手放したくない幸せだけを掴んで離さず、そうやって、うたかたの日々を過ごす。

なんで幸せとは、手に入り難く、そして、いとも容易く壊れやすいのだろうか?
幸せを感じてその肌にその心に意識していたとしても、それが壊れることに怯えてしまうのだろうか。

じゃあ、幸せでない状態でないと、幸せに暮らして行けないじゃないか。

君、儚いと聞いて頭に描くイメージは、どんなもの?

なんで温かさに満ちた幸せな時間は、儚いなどと言われたり、うたかたの夢だと言われたり、そうして、たいていの場合、ほんとに泡のようにはじけ飛んで消えてしまう。

どうしてなのだろう。

君、散らない桜がイメージできるかい?
君、消えない花火がイメージできるかい?

満開に咲いて美の印象を残し散って行くから桜は儚くも美しいのだろうか。
真っ黒な夜空に人々の希望を乗せるかのように輝いて消えて行くからこそ花火は美しいのだろうか。

僕は、君の姿を、瞼の裏に焼き付けたりなんかしないで、泡のように消えることもなく、ただただそよ風に吹かれるように、どこまでもどこまでも流れて行きたいと願う。


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出現したその物語に「巻き込まれる」っていうのが、とても自然な感じ。-書評-『アヒルと鴨のコインロッカー』

非日常的なことは、ある日突然、訪れる。

これまでに何度もそんなことがあったはずで、もうそんなことはあるはずもないよ、と思ってみても、そんな瞬間は、ある日突然、思いもかけないタイミングで、訪れる。

みんな真新しい体験を望んでいるもんだから、だから敢えて、行ったことのない店に行ってみたり、いつも注文しているものと違うものを注文してみたり、いつもの道とは違う道で帰ってみたり、自分の中でのペースやバランスをちょっと崩してみて、いつもとは違うものに触れようとする、意識して。

でも、ほんとの非日常的な物語は、意識もしない、予感もしないときに、急に訪れる。

出会い頭から始まるそんな物語は、今までの自分じゃ対応できないもんだから、頭も心も体も使って全力で体験していく。だから、へとへと。だから、くたくた。だけど、気持ちいい。

生きてるって、そんなことだと思う。

そういうドラマチックでロマンチックなことを考えるとき、いつも、とある英文を思い出す。
「夏はもうすぐだね!」って言うときとかに使う英文で、その表現は、とても胸がドキドキする感じで、大好きだ。

Summer's just around the corner!

次はどんな「新しい物語」に巻き込まれるだろうか。
そこにはどんな新しい世界が広がっているだろうか。

待ってても来ない。追っても見つからない。それは、ある日突然、やってくるから。


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棘もあれば毒もあるし、劇物であるのに違いはないが、それでもついつい服用したくなる。-書評-『真実真正日記』

日々の生活を、たとえば徹底的に自虐的な目線で見てみたとしたら、なんとまあ、一分一秒が退屈しないわな。

退屈さえも自虐的に切り取ってみたとしたら、あらまあ、虚無もよし、退廃もよし、屈折もよし、停滞もよし、不運もよし、なにもかもが、自虐的の名のもとに、よしとされるわけである。

そしてさらに、自虐に笑いやらユーモアやらを加えたとするなら、あらまあ、それはもう、他人をも幸せにしてしまう。
うわあ、これはすごい、自分の自虐を謳うことで、他人を幸せにまでしてしまうなんて。
だってだって、自虐的な思考は決して人を傷つけないもんなあ。

しかし、そこにはひとつポイントがある。

自虐の妙味とは、そこに言われなき自信や自尊心が盛り込まれているからこそ、そのアンバランスさが、ユーモアとして映るんだろうと思う。

自虐は、自己否定とは似て否なる。
だから、おもしろい。

他人に忌避される自信や見栄をもって生きている人よりも、自ら潔く自虐できる人のほうが、よっぽど余裕があって、涼しげで、豊満だ。

そう、豊満。

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物心ついてから、棺桶に入るまで、ずっとこんなことを考えてしまうのだろう、人間。-書評- 『何者』

本当の自分なんて、もうどこにもいない。

自分が思う自分、他人が思う自分、他人が自分のことをこう思っているだろうと思ってそれを演じている自分、自分はこうあるべきだと思いこんでいる自分、自分はこんな風でありたいと願っている自分、自分は他人にこう望まれているんだと思い込んでいる自分、こんな自分は自分じゃないと思っている自分。

自分の思う、自分のイメージ。
他人が思う、自分のイメージ。

そのどれもが、自分であって、自分じゃない。
だからきっと、自分はどこまで行っても、何者にもなれないと、自分の輪郭を探すけれども、どこを探してみたって、それはきっと、見つからない。

物心ついてから、棺桶に入るまで、ずっとそんなことを考えてしまうのだろう、人間。

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高校時代は人の上に人を作って人の下に人を作る、そして自分はいつだって、下じゃないか。-書評-『桐島、部活やめるってよ』

くっきりと芽生えた自我を、共に時間を過ごす同世代たちに、擦られ擦られ、時に磨耗したり、時におっきくなったりして、なんとも多彩で、なんとも鬱屈としていて、心の中が混沌としてしまう。

高校生活。

思い返せば「淡い」なんて表現されてしまうけれども、あの日あの時あの場所にいた自分たちは、何ともコントラストの強い渦の中に巻き込まれて、まるで、変化球の投げ方を知らない投手が、九回までずっと、一球入魂のストレートを投げ続けるかのように、もうヘロヘロ。

高校生活。

回避のできない悩みや、心の中に棲む憂鬱さが、日々そのランキングを入れ替え入れ替え、そのどれもこれもに答えを見出そうとして、わずかばかりの解答スペースに、大量の感情でもって、答案を書き込むような。

高校生活。

それはきっと、自分という存在の輪郭を、周りの人たちと比較しまくることで、必死に縁取りしていき、一喜一憂しながら、形作っていく期間。

それが、高校生活のような気がする。

子どもから脱却したフリをして、大人の仲間入りをしたフリをして、その実、フリりしかできていない自分に気づいて、自分はいったいどっちなんだ?他人が求める「自分像」はいったい何なんだ?それに応えなきゃ応えなきゃ、じゃないと自分が自分でいれなくなってしまう。

抱く感情、その一分一秒、どこを切り取ってみても、きっと美しい。
ハロー高校生活。

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手紙はチャーミングでいて、人の複雑な感情のミルフィールをひも解いてくれる、素敵な伝達手段。 -書評- 『三島由紀夫レター教室』

手紙って、何でこんなにも、チャーミングで素敵なんだ。

想いを綴るっていうことは、何でこんなにも、可憐で清々しい気持ちになるんだ。

ああ、手紙を書きたい。
手紙、書いて、投函して、想いを届けたい。

そうだそうだ、想いを伝えることに、便利さや手軽さや素早さなんて、ほんとは不要なんだな。

相手に伝えるって行為は、会って目を見て伝えることと、じっくりと想いを熟成させて伝える手紙、だけで充分なはずなんだ、きっと。

自分も含め、現代人よ、とても貴重な行為を置き去りにしてしまったね。
そして、とても貴重な手段を失ってしまったね。

自分の気持ちを自分の言葉と自分の表現で、相手に届けられる、心のこもった伝達手段。
それでいて、見栄や嘘、建前や強がりも、しっかりと盛り込める、心のこもった伝達手段。

総じてそれを、チャーミングな表現手段と呼ぼうじゃないか。

嗚呼、手紙、書きたい。


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やがてみんな大切な何かを失ってしまう。それならば今は、何ひとつ失わずに生きていたい。 -書評- その日のまえに

やがてみんな誰しもが、終わってしまうんだ。
今生きてるこの時間が過程だとしたら、誰しもに終焉は訪れるんだ。

だからといって、終わりたくないから、僕はまだまだ終わりたくないから、どんな惨めな格好でもいいから、できるだけ後悔のないように、できるだけ笑っていられるように。

そう思う。

いつかはきっと、何かを失くしてしまうだろうから、今あるこの時間や、大切な人の命、そして自分の命までをも。

そして、失うこと、それは決してその時間を選ばせてくれない。
目覚まし時計のアラームのように、むくりと起き出したい時間を設定して、そんな都合のいい具合にして、事が起こることなんて、決してない。

だから、いつまで続くか不明瞭なこの毎日の中で、僕は、どんな小さなことでも失うことを選択したくない。後悔することを選択したくない。何ひとつをも、無駄にしたくない。

そして知っている。

そんな気構えを持ってしたって、この中途半端な、人間という生き物は、日々何かを失い、後悔し、無駄にし続けるから。
だから、できなくたっていい。そんなカッコよくなくたっていい。そんな気持ちを持っているだけでいい。

本当に大切な何かを、失うことを告げられたとき、自ずと人は、その襟首を正すんじゃないだろうか。

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人の幸せを願うことを「子どものころから伝えておく」っていう思いがどこまでも巡る。-書評- 『銀河鉄道の夜』

僕たちは、とてもとても小さな世界で生きていると思うんだ。

とてもとても小さな意識の中で、例えば、同じ電車の中に乗り込み、いつもとちょっとだけ違う光景を見たりとか、今日のお昼には、いつも食べてるメニューの中からどれを選ぼうかって考えたり、持っている服の中から、今日の気分に合わせた服を選んでみたり、毎週見ているテレビ番組の、新しい企画を期待してみたり、時には、決められた時間に決められた場所に行って、決められたものを買ったり、決められたもので遊んだり。

そうやって、小さくまとまって、コンパクトにまとまって、狭くって、息苦しくって、窮屈な世界の中で、生きていると思うんだ。

だから、大切な人を想うとき、大切な人に会いたいって望むとき、誰かの幸せを願うとき、誰かと一緒に幸せになりたいって願うとき、そのとき、そのときだけは、世界が、とてもとても大きなものになると思うんだ。

どこまでも穏やかに続く海を見てみたり、両手じゃ抱えきれないほどの広大に広がる夜景を見てみたり、無心の思いで雪景色を眺めてみたり、そして、今いる場所からふと見上げてみて、少しばかりの星が輝く、大きな大きな空を仰いでみたりする。

そんな瞬きの間に、きっと、銀河鉄道は、ジョバンニを迎えにきたんだと思う。

世界が、とてもとても大きなものになったときじゃないと、感じれない何かと、見えない何かと、分からない何かを、いろいろな人から教えてもらうために、銀河鉄道は、銀河ステーションからジョバンニを連れて、走り出したんだと思う。

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可能性を追いかけられることが、何よりも僕らが恵まれている証拠だと思う。 -書評- 『路傍の石』

今、僕たちが、何が恵まれているかを考えるとき、世の中に物が溢れかえって、どんなものでも手に入れようと思えば、それなりに取り揃えた生活ができること、じゃなくて、飽食の時代をとうの昔に迎えて、食べようと思えば腹いっぱい食べられて、むしろ、多いから残す、嫌いなものだから残すといった具合に、食にも不自由しなくて済むこと、じゃなくて、何が恵まれているかを考えるとき、それは、

『可能性の多さ』

なんだと思う。

何かを成し遂げられる可能性、何かに挑戦する可能性、何かを変えられる可能性、誰かと想い合える可能性、誰かに打ち勝てる可能性、喜びを手に入れられる可能性、楽しめる可能性、笑える可能性、それら全ての可能性が、今の僕らは、はるかに恵まれている。

誰と比べて恵まれているかって?

今日の僕らは、昨日の人たちよりも恵まれていて、昨日の人たちは、一昨日の人たちよりも恵まれている。

誤解を怖れずに書くならば、今の僕たちは、昔の人たちよりも、はるかにずっと恵まれていて、はるかにずっと可能性に満ちている。

ただしそれは、心の問題じゃなくて、物質や環境や時代において、規制や統制や弾圧の量において。

路傍の石を初めて読んで、僕たちが、いかにその『可能性の多さ』に気づかずに、なんの可能性をも意識せず、その中でいて、足りないものや制限されるものに、グチグチと不満ばかり漏らし、どれだけ、可能性というものに、軟弱に向き合ってしまっているかを思い知らされた。


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社会とか政治とか生活とか、ここんところ、なんかバタバタあって、ちょっと真面目に書いてみようと思った。

人は、疑問を持たなくなってしまったら、終わりだと思う。
人は、持った疑問をやり過ごせるようになってしまったら、終わりだと思う。
そして、それをやり過ごすことに、立派な言い訳をつけるようになってしまったら、完全に終わりだと思う。

社会とか政治とか生活とか、ここんところ、なんかバタバタあって、ちょっと真面目に書いてみようと思った。

20130705
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人を管理する立場の人間の、なんと愚かなこと。少しでも多くの人が、社会に出て、笑えますように。

社会に出て、いろんな人の考え方を見たり聞いたり触れたりしていると、「他人のダメな部分」を探すことに躍起になっている人の、なんと多いことだろうと思ってしまう。

世の中には、管理職というポジションが、どうやらあるみたいだけど、そこの人たちは、管理職と呼ばれるくらいだから、仕事はもちろんのこと、人も管理するんよね。

人を管理か。

果たして、そんなことをきちんとできるくらいの人間って、どれくらいいるんだろう。肩書きをもらったからって、できる芸当じゃないよね。

でもね、いろいろと愚かな人たちを見てると、あることに気づいたんだ。
こんなにもたくさんの愚かな人を見ていると、悲しいけれど、やっぱり気づいてしまう部分がたくさんある。

少しでも多くの人が、社会に出て、笑えますように。
一生のうちの大半の時間を過ごす、社会という場が、少しでも楽しくなりますように。

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上などさえ見ずに、到底、空など仰がずに生きてきた自分の存在とは、いったい何か。 -書評- 苦役列車

私小説には、なぜにもこんなに、退廃的な雰囲気がぴったりとくるのだろうか?
人間の退廃的な部分には、どんな魅力が潜んでいるのだろうか?

それをひも解く、私小説というやつ。

自分自身と対話をすればするほど、自分の中だけに潜み、とうてい他人にお披露目することさえないような感情が、紡ぎだされる。

それを束ね束ねすると、きっと、まるで別人格の自分というものが、出来上がる気がしてならない。

その別人格の自分というやつは、陽のあたる場所ではなく、鬱蒼と、じめじめと、湿っぽい、陰の中でさんざん育っていやがるもんだから、それはそれは、そこをフューチャーすると、もう退廃的で刹那的でたまらん。

しかし、その部分があるからこそ、日常の、ある意味、捏造された自分像というやつは、立派に舞い、立派に踊り、立派に歌えるってなもんだから、あんがい、その陰の根暗な自分も、悪くはない。

そうして、その部分に陽ではなく、人工的なスポットを当ててみると、それはもう、別の人間としての、ひとつの物語が誕生するわけで、それこそが、自分の中で思う、私小説的な部分。

誰しもが、きっと持っている。
誰しもに、きっと潜んでいる。

あとは、そいつと対話するか。そいつを、直視するか。そいつに、主役を任せられるか。

それを決めるのは、もう、あなたの弱さだけでしかない。


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摩訶不思議なことや奇想天外なことをすっかり信じさせてくれるドキドキ。 -書評- おーい でてこーい ショートショート傑作選

こどものころは、摩訶不思議なことや奇想天外なこと、すごくすごく信じていて、自分には実は、信じられない力が備わっているんじゃないかとか、ある日突然、珍妙な事件に巻き込まれて、これまでとは、全然違った毎日が始まったりするんじゃないかとか。

そうやって、毎日、胸をドキドキさせて、まだ見ぬ何かに期待して、だから一日一日が、新鮮に過ぎていく。

でも、いつからだろう、歳を重ねるごとに人って、経験したものの中から、学んだものの中から、見聞きしたものの中から、覚えたことの中から、信じられるものをどんどん選別していって、ふるいにかけて、そんで残ったものだけを信じようとする。

その選別の末に残らなかったものは、まるで鼻で笑い飛ばすくらいに、どうでもよくなって。

ショートショートには、忘れかけていたドキドキというか、今ではすっかり見ようともしなくなってしまった自分の胸の中のドキドキに、再び出会わせてくれるような、そんな、こどものような興奮と感動を覚える。

何も変わらない毎日が、毎日ずっと続くとしたら、どんな気分だろう?
焼き増しのような毎日が、ずっとずっと続くとしたら、どんな気分だろう?

でも、おとなは、頭が固くなってしまってるから、気をつけないと、墓場まで、つまらない毎日が繰り返されることになってしまう。

昨日したこと、今日も無意識にしていたり。
先週行ったところに、機械的に今週も行っていたり。

おとなたちがすっかり信じられなくなってしまったものに、ちゃんと心を奮わせて、ちゃんと胸をドキドキさせて、そうやって、それを、信じられるようなものに変えていけるのは、ぼくたち、おとなの素晴らしい才能なのに。

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大阪モダンディスコ
常盤 英孝
自分史[プロフィール]

大阪のモノ書きでありWeb屋であり広告屋。

どうにかロクデモナイ売文稼業家としてメシを食っていける日を夢から現実に変えるべく、うぬぼれ一本で今日もくだらん文字を書き続ける日々。

大阪を盛り上げるべく、たくさんの人と出会い、とにかく"コトを起こす"ことをお酒の肴に呑んだり、わいわいやったり、時には本気で"コトを起こしたり"など。

日々、書き、描き、話し、モノづくりをしています。

モノ書きとして活動しながら、中小企業・個人事業主の方々のWebサイト制作のニーズを叶えるべく、そのお手伝いもしています。

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